嵯峨野歩き
2008/05/08(Thu)
『ウォーキング京都・いいね!小さな発見 50コース』
京都新聞出版センターから出ている本です。

タイトル通り、ウォーキングコースを紹介した本。
ウォーキング初心者でもOKな歩きやすいコースから、山歩きといったほうがいいようなちょっとハードなコースまでを、距離と目安となる所要時間と難度と見所とで紹介しています。
この本、眺めているだけでも結構楽しいのですが、時々「今度はここ!」と決めてコースに沿って歩きに行っています。

GWの真っ最中、この本の中から、以前から気になっていた「嵯峨野ムード満喫」コースを歩いてきました。

約6キロの平坦な道を行くコースです。

基本的に、本に書かれたコース通りに歩くことにしているので、まずは「山越」バス停を目指して、自宅近くからバスに乗りました。
山越(やまごえ、と読みます)は嵯峨野への入り口、といえばいいでしょうか、
京都の西のほう、北大路通りを道なりに、金閣寺・竜安寺・御室仁和寺と進んだもう少し西です。
お天気のいいGWのこと、予想以上にバスは満員。
金閣寺前の渋滞を抜けてバスに乗ってるほとんどの人が仁和寺で降りていきました。
そこからバス停で5つ目。
周りには何もない田んぼと山に囲まれた十字路、山越からスタートです。
バス停からまっすぐ西に向かいます。
嵯峨野、という言葉はこの広い野原からつけられたんだな、と一目で思うほどの気持ちいい平地が広がって、子供の頃に見た草花が足元にたくさん咲いています。
少し歩くと広沢の池。
ここは人工的に作られた池ということらしく、はるか昔の人々が観月の宴を催した、といったような案内板と和歌が刻まれた石碑がありました。



のどかな景色に心がやわらかくなるような気がします。

ここから池沿いに北へ向かいます。
少し歩くと竹林。
時折、さわさわと風が向けていきます。
宮内庁の管理している竹林を右手に見ながら、すれ違う人もなく歩いていくと小道に数台車が。
この後訪れることになる大覚寺の中興の祖、後宇多天皇陵でした。




静かな山の中にきれいに手入れされた玉砂利、その奥に霊廟がありました。歴史が好きな方たちなのか、数人の男性が思い思いの場所で静かに休んでいます。
気持ちのいい風にしばし吹かれて、またもとの道へ戻りました。

少し行くと直指庵の案内標識。
♪ 京都嵯峨野の直指庵〜 ♪ この歌を知ってる人はもう珍しいでしょうか、京都の呉服屋さんもCMソングに使ってましたけど、あの、若い女性が(ここはやはり「若い女性」じゃないと雰囲気でないでしょう・笑)恋のつらさや悩みを書き綴る「思い出草」ノートでおなじみの庵です。
もともとが江戸初期に創建された大伽藍をもつ大きな寺院だったようですがいつしか寂れていたのを江戸末期、篤姫が江戸城入りした際、近衛家からお供として大奥へついて入った「老女 村岡」が再興させた、と案内板に書かれていました。

お庭には都忘れや著莪(しゃが)が咲いていました。



拝観されていた人が何組かいたのですが誰もほとんどおしゃべりされることもなく、静かな庵でした。

直指庵を後にして今度はどんどん南に下って行くと大覚寺の北側の門に行き当たりました。
大覚寺の東に広がる大沢の池と、その北側に広がる名古曽滝(なこそのたき)の遺構がそのまま公園のように開放されていました。この名古曽滝は嵯峨天皇が離宮の苑池として作ったものの遺構だそうで、平安時代初期庭園の様子を知ることができる貴重なものなのだそう。
平安時代の貴族の邸宅の形式は寝殿造と呼ばれ、寝殿の正面(南側)には遣水から中島のある池に水を流し込む庭園があってそこでは曲水の宴などが行われていたそうです。
平安貴族の庭園の様子は『源氏物語』などに描写があるだけで当時の面影を伝える現存するものはほとんどないそうですが屏風や絵巻などでみる源氏物語の世界をイメージさせる遺構で思わぬここを見られたのは収穫でした。
その名古曽滝跡にたくさん咲いていた花。



かわいいですね、「うまのあしがた」って花のようです。
どうしてそんな名前なのか不思議。
一面に咲いていて可憐でした。

大覚寺は旧嵯峨御所だけあって優美なつくりの寝殿(ここの廊下は漆塗りでした)やお庭、勅旨門も立派で障壁画は狩野山楽の手によるもの。
あまりにきれいに残っていたので(ここもデジタル処理したレプリカなのかな)と思いつつ見学しました。(帰って調べてみたらやはり本物は収蔵庫に収められ、みることができた襖は複製だったみたいです)
ここには五大堂があって、五大明王が祀られています。
個人的に、明王って勢いがあって大好きなのでそれぞれの印を真似したりしてみていったのですがまるで他人からみると「ちょっと危ないやつ」ですね。

大覚寺を出る頃にはかなり疲れておなかもすいてきました。
が、食事するのに適当なお店がない!
予想されていたこととはいえ、疲れておなかもすいてのお店探しは大変。
へたれそうな気持ちを励まし、所謂観光地、嵯峨野嵐山までとにかく歩いてうどん屋さんで一息つきました。
天ざるうどんの美味しかったこと。

栄養補給し、元気が出たところで再び本来のコースに戻って清涼時へ。
ここは前からずっと来たかったところ。
ここの宝物殿にある阿弥陀三尊と普賢・文殊をぜひ見てみたかったのです。

阿弥陀三尊は宝物殿の入り口を入ってすぐに祀られていました。
この阿弥陀さまは光源氏のモデルとされる嵯峨天皇・皇子の源融(みなもととおる)をモデルにしているといわれています。
初めて本物をじかで見たわけですが(映像では見たことがありました)その美しさは見事なものでした。
アルカイックスマイルを浮かべたようなやさしい口元や目元。
鎌倉仏師の迫力ある、筋骨隆々もすばらしいのですが、平安の仏様には独特のふくよかでやわらかい美しさがあると思います。
ここの阿弥陀さまは格別でした。
しばらくその前から動きたくなる、そんな感じです。
ここの仏像はどれもすばらしく、兜跋毘沙門なんて腰がくぅぅっとくびれて外国人顔しててすごくかっこいいし、ご本尊の中国から伝来した釈迦如来は当時全国的に大人気でブームになったらしく、長持ちのような入れ物に入れられて全国を回ったり(巡業ですね)、このお釈迦様を模して描かれた絵があちこちに祀られていたそうです。
伝達のスピードはゆっくりゆっくりでも平安時代もいまと同じようになにかがブームになってた、と思うとなんだか身近な感じがします。

さて、このコースの見学予定場所は清涼時でおしまい。
あとは嵐電 嵐山駅までもう少し。
嵐山近辺はさっきまでのハイキングコースとは別の世界のような賑わいでした。

さて、ここでちょこっとおまけのお話。
前から見かけて気になっていた風景をご紹介します。
この日、山越に向かう59系統バスに乗るために最寄のバス停まで少し歩いたのですがその途中にこんな壁が。




わかります?
これ、あるお宅のトタンの壁なんです。
そこにビニールテープで『アテナイデ!』
このお宅、あまり広くない道の十字路の角にあって、よほど難度も車にぶつけられたのでしょう、この『アテナイデ!』を3箇所に貼ってあるのです。




これ以上、アテナイデあげて!

この記事のURL | ぐるり京都 | CM(17) | TB(0) | ▲ top
<<お披露目 | メイン | 真夏日>>
コメント
-  -
こんばんは
ラストの「アテナイデ」は路上観察の中でも、「おおっ」な物件ですね。
いや、お気の毒なんですけど。

シャガ大好きです。群生が嬉しいです。ああいう野の花は群生しているのを見ると、それだけで和みますね。
2008/05/09 00:01  | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
- お勉強ハイキング -
素敵な散歩道でしたね。一緒に歩いている気分になりました。初夏の眩しい陽射しと、さわやかな風が吹いて行きました。
それにしても気の毒な壁ですね。余程困っておられるのでしょう。ほんと、アテナイデあげて欲しいです。
2008/05/09 16:08  | URL | 阿修羅王 #QmhNi1cU[ 編集]
- いいですね -
ハイキングですかー
ドイツ人も歩くのが好きで雨、風、雪、どんな天候も関係なく外を散歩するのが好きです。
私はどうもー?
ーうまのあしがたー、この草花たしかこちらでBUTTERBLUMEN
バターの花といわれているものだと想います。
アテナイデーは切実さがでていて笑ってはいけないのにどうしてもプーです。
前回コメントを出したのですがなぜか見あたりません?
2008/05/09 19:55  | URL | ヘルブラウ #pDmV/urE[ 編集]
- まいった〜 -
まいりました〜、実は
最近、このBlogの画像がうまく表示されません
私のPCの不具合だと思いブラウザを代えてみたり
ハードディスクを整理したり色々調整してみたのですが
相変わらず表示されません、
全て表示しない訳ではなく2月のジューサーのお話までは
ちゃんと表示するので不思議なんですよね
何かお心当たりは無いでしょうか? ないですよね〜。
「アテナイデ!」の画像、見たい!!

2008/05/09 22:30  | URL | aki #-[ 編集]
- まあ -
あてないで なんて おっとりした いいかたなんでしょう。
 当てるな なんて書きませんねさすが 京都です。
 直指庵  すごく有名で いきましたよ。
 懐かしいです。
2008/05/10 17:59  | URL | 小紋 #-[ 編集]
- 遊行七恵 さま -
こんばんは。

シャガ、お好きなんですね。
私もこの花、好きです。
群れて咲いててなんだか「わぁ!」って感じでした。

アテナイデ! ほんと、切実でお気の毒なんですけど、始めてみたときはちょっと(ぷぷっ)って(いいもん、みつけた!)ってのが正直な気持ちでした。
2008/05/10 23:40  | URL | 紫 #-[ 編集]
- 阿修羅王 さま -
こんばんは。
歩いてて気持ちのいい一日でした。
お昼ご飯が予想以上に遅くなってエネルギー切れになりそうになったときはちょっとへたれそうでしたけど。
アテナイデ!のお宅、良くみると縦樋にも「キケン」とかバッテンマークとかついてるんですよ。
阿修羅王さんも見かけられることがあるかもしれませんね。
2008/05/10 23:45  | URL | 紫 #-[ 編集]
- ヘルブラウさま -
こんばんは。
前回くださったコメント、どうしたんでしょう?
見当たらなくてごめんなさい。

BUTTERBLUMEN 、ネットで調べてみたら同じきんぽうげ科の植物でウマノアシガタよりも花が丸みを帯びてるみたいでした。
ヨハンナスピリのお話に良く出てくる花ですね。
どちらも愛らしい山野草ですね。

アテナイデ! ほんと、このお宅にしたら切実なんでしょうけど、やっぱりちょっと(ぷぷっ)です。
2008/05/10 23:57  | URL | 紫 #-[ 編集]
- aki さま -
どうしたんでしょう?
画像が表示されない原因、私にはわからないんです、ごめんなさい。

ブログの記事中の画像が配置されている場所を右クリックして「画像を開く」でもだめでしょうか?
それでもだめだったら個人的にファイルをお送りするしかないか……(笑)
2008/05/11 00:03  | URL | 紫 #-[ 編集]
- 小紋 さま -
直指庵、行かれたんですね。
ノートにはなにか書かれましたか?
私はこっそり見るだけ、でした。
静かな庵で、いらしてる方々がみな、ほとんど無言でたたずんでいるのが印象的でした。
2008/05/11 00:05  | URL | 紫 #-[ 編集]
- 管理人のみ閲覧できます -
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2008/05/11 12:19  | | #[ 編集]
- シャガと都忘れ -
このシャガと都忘れは大好きな花です。丁度今頃咲き誇ってますね。

以前、我が家(一乗寺)から程近くていい環境のキャンプ場が左京区の久多にあり、春の来るのを心待ちしていてそこでテントを張りよく連泊していました。

この時期、その近辺に咲いていた好きなシャガを水彩画にしてその絵を飾ってもらっています。

東の一乗寺あたりから滅多に行けない西の方に行くのが楽しみでしたが、中でも広沢の池から嵯峨野あたりをドライブすると気持ちまでユッタリしてきますね。一年を通して景色の素晴らしいところで今でも鮮明に覚えています。

2008/05/11 13:51  | URL | boumama #-[ 編集]
-  -
『嵯峨野ムード満喫コース』
こんな素敵な散歩道なら、健康のためとは思わないで、楽しく歩けそうです〜
お花を愛でて、神社仏閣を辿って…
心から癒されそうです。

2008/05/11 19:08  | URL | ば〜むく〜へん #-[ 編集]
-  -
エエお散歩やわ。と思っていたら、最後はきっちりオチが。常々、こういう場所を探し歩いてる身としては大変うれしかったです。
2008/05/11 22:06  | URL | ぽん #-[ 編集]
- boumama さま -
こんばんは。

私もシャガも都忘れも好きで、都忘れは数鉢育てています。
薄い紫と濃い紫です。

嵯峨野は、嵐山のあたりを除けばほんとに自然が豊かでのどかな景色がまだまだ一杯ですね。
京都にお戻りの節にはまた訪ねてみてください。
2008/05/11 23:58  | URL | 紫 #-[ 編集]
- ば〜むく〜へん さま -
同じコースを歩いてもきっと季節によってまた違った楽しみを見つけられそう、そんな気配一杯のコースでした。
健康のため、といいつつ、歩いて消費したカロリー以上に、甘いもん食べてるような気がするので効果のほどはなかなか……(笑)
2008/05/12 00:00  | URL | 紫 #-[ 編集]
- ぽんさま -
「アテナイデ!」のお宅、前からずっと気になってていつか画像を撮ってブログで紹介したい、と思っていたんです。
夜のウォーキングのときに歩くことが多い道なのでこの日は(チャーンス!)とばかりに撮らせてもらいました。
良く見ると、雨どいの縦樋の部分に、「キケン」とか怒ったような人の顔とかもビニールテープで貼ってあるんですよ、こういう街角、楽しいですよね。
2008/05/12 00:03  | URL | 紫 #-[ 編集]
コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する


▲ top
トラックバック
トラックバックURL
→http://artkyoto.blog104.fc2.com/tb.php/124-3204a205

| メイン |